「車は一括払いで買うな!」と言いますが、高い利息を払うくらいなら現金一括払いで買った方がいいです。
せっかく値引きを頑張っても、金利が高ければ全て水の泡です。
そこで本記事では、ディーラーで営業マンをしている私がローンの裏側について解説します。
ディーラーは一括払いや銀行ローンを嫌がる
ディーラーは車を販売する利益だけではやっていけないので、なんとかして別のところでも利益を得ようとしています。
詳しくは後述しますが、ディーラーにとってローン契約は立派な収益の柱。
ディーラーでローンを組んでもらうことで、ローン会社から数パーセントのキックバックを受けているのです。
だからディーラーは現金一括払いを嫌がるんだモン
ディーラーとしては、現金一括払いで車を購入されたら儲けが少なくなってしまいます。
またディーラー経由でローンを契約することでキックバックが発生するため、銀行ローンなども嫌がります。
ディーラーはローンの金利で儲けるから値引きができる
ディーラーはローン会社からキックバックをもらっていると聞くと、自分は損しているのではないかと思います。
しかしこうした影の努力があるからこそ、ディーラーは車を値引き販売することができるのです。
ディーラーの収益は以下6つから成り立っているんだモン
ディーラーの収益源6つ
- 車販売で得られる利益
- ディーラーオプションで得られる利益
- ローン会社からのキックバック
- 自動車保険契約での利益
- 下取車での利益
- 日頃のメンテナンスでの利益
新車を販売して得られる利益というのは、実は車両販売価格の15%程度です。
車種によっては5%台なんてこともあり、新車販売だけでは全然利益がないのが実情です。
その薄利の中から値引きをすることになるので、ディーラーの経営状況はカツカツだったりします。
でも値引きをしないとお客様は買ってくれないモン
こうした状況の中で、ディーラーはローン契約を取ったり、自動車保険契約を取ったりすることでお客様以外からお金をもらっています。
その一部を還元する形で、お客様には値引きとしているのです。
一括払いは値引きがしにくい
つまり、現金一括払いのお客様は値引きがし辛いをことを意味しています。
こんな特徴のあるお客様は全く値引きができないモン、、
値引きができないお客様の特徴
- 現金一括払いで購入
- 下取車がない
- オプションを全くつけない
- 自動車保険もネット型を契約
- 日頃のメンテナンスは知り合いまたは自分
ディーラーが値引きをするのは、そのお客様が今後定期的にメンテナンスで入庫してくれることを期待しているからです。
ある種先行投資のようなものですが、ディーラーマンは「その価値があるかどうか」を冷静にジャッジしています。
全く利益にならなそうなお客様は、残念ながら大幅値引きをすることはできないのです。
一括払いを嫌がるディーラーは金利が高い
では金利が高くても値引きの為にローンを契約するべきかと聞かれれば、そんなことはありません。
前章まではディーラーの事情ばかりをお話ししてしまいましたが、大事なのはお客様であるあなたがお得に車を購入できるかどうかです。
もしディーラーで現金一括払いを断られたらローンの金利を確認しましょう。
7%以上なら要注意だモン
銀行などのいわゆる”低金利自動車ローン”は、一般的に2〜3%台に設定されています。
対するディーラーが用意している一般的なローンは5%台が多いです。
ディーラーローンの金利は銀行などに比べれば若干高いですが、その分審査に通りやすいなどのメリットがあります。
審査に通りやすいローンは金利が高くなるのは仕方ないのですが、7%を超えてきたらディーラーがローン会社からキックバックをもらっている可能性が高いです。
ローンを条件に値引きするディーラーは要注意
一括払いを嫌がるディーラーは、必ず自社でローンを組んでほしいと懇願してきます。
「半年だけでも!」「ローンを契約してくれたら値引きします!」などと言われても、まずは冷静に一括払いとローンで購入した場合の支払総額を比較しましょう。
金利の違いによる支払総額
下記の表は、同じ車を現金一括払いとローンで購入した場合の支払総額を比較したものです。
現金 | 3%ローン | 5%ローン | 7%ローン | 9%ローン | |
---|---|---|---|---|---|
車両本体価格 | 300万円 | 300万円 | 300万円 | 300万円 | 300万円 |
3年後の支払総額 | 300万円 | 314万円 | 323万円 | 333万円 | 343万円 |
5年後の支払総額 | 300万円 | 323万円 | 339万円 | 356万円 | 373万円 |
7年後の支払総額 | 300万円 | 332万円 | 356万円 | 380万円 | 405万円 |
10年後の支払総額 | 300万円 | 347万円 | 381万円 | 417万円 | 456万円 |
7%以上のローンで契約すると、現金一括払いなら300万円で買える車が最大417万円になってしまいます。
仮に7%のディーラーローンを5年で組めば、支払総額は356万円だモン
ローンを契約したら30万円値引きしますと言われも、これでは大赤字になってしまいます。
冒頭でもお話ししましたが、車は現金一括払いで買えるならそれに越したことはありません。
ディーラーはローンの金利で儲けているため、ローン会社からもらえるキックバック以上に値引きをすることなどないのです。
もし過剰に現金一括払いを嫌がり、頑なに自社のローンを勧めてくるディーラーがあったら注意しましょう。
交渉を有利に運ぶ裏ワザ
もし現金一括払いで車を買う予定で、値引きもしてほしいなら支払いの話は最後にしましょう。
「ローンを組んでくれたら値引きも頑張れます」と言われたら、ローンを組んだらいくらの金利で何万円値引きしてくれるのかを確認しましょう。
ローンを組んだ支払総額が、値引きよりも多いようであればあなたが損をしています。
ハッキリと断るモン
一括払いを嫌がるディーラーマンは、こんなトークを仕掛けてくるはずです。
一括払いを嫌がるディーラーマンのトーク
- 半年だけでもローンを組んでほしい
- ローンを組んだら値引き(またはサービス)する
- ローンを組まなきゃ車を売らない
半年だけでもローンを組んでほしいと言われた時は、中途解約で違約金がかからないかどうかを確認しましょう。
契約書をよく読むと、中途解約は高額な違約金がかかるローンがあります。
こうしたものを契約すると、結局繰り上げ返済もできず長期にわたって高い利息を払い続けることになります。
また「ローンを組んだたらサービスする」と言われた時は、サービス内容と支払う利息のどちらがお得か比較しましょう。
厄介なのが、最近多い「ローンを組まなきゃ車を売らない」というパターンです。
さすがに悪徳すぎるモン
これは新型アルファードやランクル250などで見られる販売形式です。
ローンを組むことで所有権をディーラーのものにして、転売を防ぐのが目的です。
この場合は一度はローンを拒否してみることをおすすめしますが、ディーラーによっては注文を受け付けてくれない可能性があります。
それでもその車が欲しければローンを契約するしかありませんが、必ず金利は確認しましょう。
転売阻止が目的であれば、不当に高い金利なんか設定しないモン
転売阻止と言いながらも、5%以上の金利でローンを組ませようとしてきたときは、金利を下げる交渉をおすすめします。
うちのディーラーは2割が現金一括払い
私が勤めるディーラーでは、約2割のお客様が現金一括払いを利用しています。
現金一括払いで買ったお客様は、こんなことを言っていました。
現金一括払いで車を買ったお客様の声
- 低金利と言っても元金が高い
- 別にローンで買う理由がない
- 所有権がディーラーになるのが嫌
- 少しでも安く車を買いたい
低金利と言っても元金が高い
私が勤めるディーラーは、ローン会社よりキックバックをもらっていないため1.9%という低金利でやっております。
銀行よりも低金利ではありますが、全くの無金利というわけではありません。
500万円の車を7年ローンで買えば支払総額は534万円だモン
元金が高いので利息だけでも数十万円になるため、意外と多くの出費があるのです。
別にローンで買う理由がない
貯金も十分にあり、車を買ったところで生活が困るわけではない人はローンを組む意味がありません。
理由もないのにローンを組む必要などないので、そういうお客様は現金一括払いで購入されます。
もっともな理由だモン
所有権がディーラーになるのが嫌
ディーラーでローンを契約すると、車の所有権がディーラーのものになります。
だからといって日常的に困ることは特にないのですが、それでは自分の車という感じがしないというお客様も多数います。
ローンで車を買うと、完済時に”所有権解除”という手続きをしないと名義を自分のものにできません。
所有権がディーラーでも困ることはないモン
少しでも安く車を買いたい
現金一括払いで買うことが、最も車を安く買う方法です。
他の方法でも安く買うことはできますが、実質価格を計算するのが面倒というお客様も多いです。
一括払いが1番シンプルで総額もわかりやすいモン
一括払いで車を買うメリットとデメリット
一括払いで車を買うメリットは、利息というものを支払う必要がないことです。
利息はお金を借りている間はずっと発生するモン
ただし預貯金が数百万円単位でなくなるため、手持ちのお金を全て使ってしまうといざというとき「お金がない」という事態が発生します。
中古車を買う場合は購入してから壊れる可能性もあるので、修理費用としてある程度の現金を持っておくことをおすすめします。
ローンで車を買うメリットとデメリット
車を買うためには数百万円単位のお金が必要ですが、ローンは一気に現金を用意する必要がありません。
分割払いだから気軽に買えるモン
車が欲しいときに、いきなり数百万円を用意できる人はそう多くありません。
また自動車ローンは比較的低金利なので、手元の現金を減らしたくない人はローンを利用する傾向があります。
ただし何度もご紹介していますが、ローンは多額の利息を支払う必要があります。
せっかく買った車が事故などで全損してしまったとき、ローン残債だけが残る可能性もあります。
またフルローンで契約してしまうと、売却するときに買取価格よりローン残債の方が多いというケースもあります。
まとめ
- ローン会社からキックバックをもらっているディーラーは一括払いを嫌がる
- 金利が7%を超えてきたらキックバックをもらっている可能性がある
- ローンを契約したら値引きやサービスをするディーラーには要注意
- 現金一括払いができるならそれが1番安く車を買う方法
- 私のディーラーでは約2割のお客様が現金一括払いしている
よくある質問
- 「車は現金で買うな」って本当?
-
自動車ローンは比較的低金利なので他にお金を使う予定がある人はローンが良いです。しかし資金に余裕があれば現金で買う方が良いでしょう。
- 車を一括払いで買うのはもったいない?
-
そんなことはありません。ローンの利息の方がもったいないので、お金があれば一括払いの方が良いでしょう。
- 車の一括払いは振込?
-
振込が一般的です。ディーラーにはお客様から預かった多額の現金を置いておける場所はないので、私が勤めるディーラーでも振込をお願いしています。
- 車を一括払いで買わない方がいい理由は何ですか?
-
値引きが受けられないというのが理由です。しかしローンを契約して値引きより多額の利息を支払ったら意味がないので、支払総額で考えましょう。
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